休職日記

仕事に疲れた。

やたらと多いプロジェクト、意地悪な年上の同僚、訴えても環境改善する気がない上司、文句は言われる割に感謝はされない雑務、全てに疲れた。こんなレベルで根を上げてどうする、もっと大変な人は沢山いると自分に言い聞かせて騙し騙し働いていたが、ついにドクターストップがかかり休職。

休職期間に入ってから1ヶ月が経ち、無職の罪悪感もとうに消え去り、人生の夏休みを謳歌している。症状としてはかなり軽度で服薬もしていないため、ストレスの原因から離れてしまえば身体的に回復するのは早かった。

(並ばずに入れる)行きたかったカフェ、(空いている)ショッピングモールでの買い物、平日にやりたかったことは概ね達成した。次は何をしようかとぼんやり考えた時、頭に浮かんだのは読書だった。

学生時代はとにかく読書が好きで、特に小説を沢山読んだ。好きな作家の新刊が出た時は、睡眠時間を削ってまで読み耽るのが至高だった。

社会人になり、いつの間にか本を読まなくなった。読書の時間が隙間時間しか確保できず、途切れ途切れになってしまうのが嫌で、読書から遠のいたように思う。忙しい毎日を送り、本ではなくスマホを眺める中で、何時間も活字を集中して読むという行為すら出来なくなっていた。

この休職期間が最後のチャンスなのではないか。リハビリも兼ねて読書を再開しようと、図書館通いを始めた。

読んだのは全て柚木麻子さんの小説。王妃の帰還、ついでにジェントルメン、ランチのアッコちゃん、私にふさわしいホテル の4冊。

どれも面白く、一気に読んでしまった。何にも邪魔されずに目の前の1冊に没頭する時間、なんて贅沢なんだろう!幼い頃、本を読み始めると周りの音が一切聞こえなくなり、よく家族に呆れられていた。その懐かしい感覚が蘇ったような気がして、なんだか嬉しくなる。

次は何を読もうか、考える時間が楽しい。もう少し余裕が出たら、感想も書いてみようかな。

身体症状も回復したのでぼちぼち復職準備を始める予定だが、しばらくはこのモラトリアムを本と共に楽しもうと思う。